7-13. 酵母・真菌のベクター
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1) ベクターのタイプ
酵母は真核生物のなかではユニークな存在で、プラスミドベクターが使える
酵母ベクターはクラス分けされる
table: 表7-2 酵母ベクターのクラス
ベクターのクラス 複製単位 安定性 コピー数
YIp なし 安定 (1)
YEp 2μmDNA 安定(Cir+), 不安定(Cir-) 10~20
YRp ars(autonomous replication sequence) 不安定 5~10
YCp 2μmDNAまたはars + セントロメアDNA 安定 1
出芽酵母だけでなく分裂酵母でも使用できる
大量培養で用いるピキア酵母にもそれぞれのベクターがある
コウジカビ(アスペルギルス属の真菌)はタンパク質を分泌産生することができる
2) マーカー遺伝子
酵母や真菌に特有な薬剤耐性マーカーに、オーレオバシジンAに対する耐性遺伝子(AUR1-CあるいはaurAr)がある
酵母ではアミノ酸要求変異株を相補する酵素遺伝子をマーカーに使うことが多い
変異株は該当するアミノ酸がないと増えるができないが、当該アミノ酸合成関連遺伝子が入ることにより、アミノ酸欠損培地でも増える
使われる主な遺伝子は、ロイシン、ヒスチジン、トリプトファン合成に関する酵素遺伝子
それぞれLEU2, HIS3, TRP1
ピリミジンヌクレオチド合成に関する酵素遺伝子URA3(オロチジン-5'-リン酸をウリジル-5'-リン酸にするオロチジン-5'-リン酸デカルボキシラーゼ)もよく使われる
memo: カウンターセレクション(選択)
出芽酵母では、ある酵素遺伝子が壊れた細胞を選択的に生存させるカウンター選択マーカーがよく使われる
これは、外部から添加された非生理的物質を酵素が細胞を殺す毒性物質に変えるという原理に基づく
よく知られているものとして、URA3遺伝子の破壊が5-FOA(5-フルオロオロチン酸)耐性になるものがある
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この手法は細胞からURA3をもつプラスミドの排除やURA3マーカーの除去で使われる
この方法が使える他マーカー遺伝子
FCY1
シトシンからウラシルを作る経路で働く遺伝子
破壊で5-FC(フルオロシトシン)耐性になる
TRP1
破壊で5-fluoroanthranilicacid耐性になる
LYS2とLYS5
リジン合成系遺伝子
破壊でα-アミノアジピン酸耐性になる)などがある